演奏会場での老害マナー違反

12月になると、日本独特の風潮でベートーベンの「第九」交響曲が国内のそこかしこのホールで鳴り響くようになって50年以上になるそうです。

本年11月8日のことですので、いささか旧聞(?)になりますが、サントリーホールでの東京都交響楽団都響)・ブラームスの夕べ・バイオリン協奏曲と第4交響曲定期演奏会での出来事です。当日の独奏は台湾のレイ・チェンという天才青年演奏家で、数年前のノーベル賞受賞記念コンサートでの出会いからの親交もあることから、日本が誇る「iPS」山中伸弥教授ご夫妻も臨席するコンサートでした。

山中教授ご夫妻がごく自然に入場、中央の席に着くや否や、目ざとく見つけた老人達が無遠慮にもサインと記念撮影をし始めたのです。コンサート会場、それもサントリーホール、これから演奏会がまさに始まるというときの出来事です。

若者達ではなく、わたくし同様の60代は超えた禿げ頭の爺や婆達が、知り合いでもない初対面の山中教授に親しげに声をかけサインと併せて記念撮影をおねだりする様子と雰囲気を想像してみてください。奇しくも、教授ご夫妻の席と通路を挟んですぐ側の席でしたから、下品な言動をつぶさに目撃(だけでなくスマホでの撮影をも頼まれました・勿論言下に拒絶)体験いたしました。

かなり以前に、あの長嶋監督ご夫妻が同じサントリーホールでのコンサートに臨まれていたことがありましたが、誰一人、プライベートの音楽会鑑賞を邪魔するような無粋な真似をするような者はおりませんでした。

最近の老害のマナー違反は社会現象なのでしょうか、電車内でもそうなのですが、若者達のほうが遥かに演奏会マナーに適っております。演奏中に、指揮の真似事のごとき身体の揺すりは勿論のこと、プログラムやパンフレットを読み漁ったりの傍若無人さ・無粋さは老人達に目立ちます。団塊世代の大量高齢化時代が過ぎ行く中、ますますもって老害パワーの盛んなこと。70年代その昔、全共闘・スチュウデントパワーの再来で、あちこちの演奏会場が団塊世代老害マナー違反の騒音で埋め尽くされ、クラシック演奏を鑑賞する環境には程遠いものとなっている現況に異議ありです!